胃癌2 原因と進行
原因
胃癌の発生のメカニズムはまだよく分かっていません。胃粘膜の細胞の遺伝子が種々の原因で傷が付き、その傷が積み重なることで癌細胞ができあがる、と考えられています。
遺伝子にキズがつく原因としては、もともと遺伝子にキズがつきやすいこと(遺伝的素因)以外に、日常生活の乱れ(タバコ、刺激物、アルコール、ストレス、暴飲暴食)があげられます。また、ピロリ菌感染により慢性胃炎となり、高分化胃癌の発生母地となります。
癌細胞はその遺伝子変異により、無制限、無秩序に増殖します。胃の壁は5層からなり、胃癌はその一番内側の粘膜から発生します。表面の粘膜、2層目の粘膜下層までに留まる癌を早期癌、筋層より深い層まで達した癌を進行癌と呼びます。
癌の進行
胃癌の進行には4とおりあります。すなわち、
- リンパ行性転移=リンパ流にのって、胃壁に近いリンパ節から順に転移していく
- 血行性転移=血の流れに乗って転移する、胃癌は最初の血行性転移は肝臓が多い
- 腹膜播種(ふくまくはしゅ)=胃壁の外へ出た癌から、癌細胞が腹膜へ種播きされる
- 直接浸潤=胃壁の外へ出た胃癌が、他の臓器へ直接かみこんでいく
粘膜層ではリンパ管や血管の発達がとぼしいので、粘膜内にとどまる早期癌は、まずリンパ節転移や血行性転移をおこしません。粘膜下層も深部まで(筋層に近いところまで)入った癌では、ときにリンパ節転移をおこす例があります。
腹膜播種、直接浸潤は癌が胃壁の外へ出ないとおきません。かなり進行した病期で、残念ながら治療に難渋することが多いのが現実です。